お知らせ

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2012年11月21日水曜日

頭痛の3次医療機関(Tertiary Headache Centre)について。

英国では全ての国民が基本的に家庭医に登録

するため、頭痛の1次医療機関は家庭医という

ことになる。家庭医で難治性の場合、頭痛の3次

医療機関(Tertiary Headache Centre)の頭痛専門医に紹介される

ケースが多いようである。2次医療機関は少ない

印象だ。また、頭痛専門医の数も少なく、長い1年

以上にもわたることのある長い待ち時間を

へて初診になることとなる。

こうして頭痛専門医のもとには、極めて難治性の

種々の連日性頭痛の患者さんがあつまって

くる訳である。欧米ではこのスタイルが一般的な

ようである。


一方、日本では頭痛の1次医療機関は一般病院、医院で

どこでもおおむね頭痛で受診することができる。

これで解決しない場合、頭痛専門医への紹介となる。

もしくは、自分の意思で初めから専門医を受診する。

ここが英国と異なるが、日本では頭痛専門医は

数百人いる。全ての医療機関の現状を把握している

わけではないが、僕の個人的感想としては

日本では頭痛の2次医療機関と、3次医療機関は

はっきりとは、わけられていないような印象である。

もちろん名門頭痛医療機関には多くの患者さんがあつまり

質の高い治療を行っているのはいうまでもないが、

一般的な印象としては多くの2次医療機関と3次医療機関が

比較的軽症から重症まで、様々な頭痛症例を

治療している印象だ。


難治なケースも各医療機関で

それぞれ治療継続しているようだ。

つまり極めて難治な頭痛患者さんだけが

3次医療機関にあつまり、その他の軽症から

中等症が2次医療機関で治療をうけている

という構図ではないようだ。


もし、例えば呼吸器疾患や循環器疾患などであれば

極めて難治な患者さんが2次医療機関で発生すれば

ただちに3次医療機関に転送されて集中的に

治療されるだろう。


頭痛の場合、片頭痛などの一次性頭痛では一般的に

生命に関わることが少ないため2次医療機関でも

診療し続けることができるのであろう。


さて、この極めて難治の頭痛患者さんだけが、頭痛の3次

医療機関に集中することについて、日本でそれが

実現した場合良い面と良くない面があるのではないか。


良い面としては、難治性患者さんだけに集中する

ことで、特殊な治療や先進的な治療がすすめやすくなり

頭痛医療の発展が期待でき、難治性患者さんにとっても

各医療機関で、なかなか良くならなかった場合でも

何らかの進展が得られる可能性が高くなる。

また、2次医療機関は比較的治療に反応しやすい

患者さんに集中することで診療がスムースになる。


良くない面としては、3次医療機関はおそらく

全国に数ヶ所になるだろうから、受診に際し

遠方まで出かける必要がある(*注)。

また、医療機関としては

軽症の頭痛も、極めて難治性の頭痛であっても

診療報酬は同じであり、極めて長時間の診療を必要と

する難治性頭痛の患者さんだけに集中して診療すると

おそらく病院は経済的に困難になるだろう。


個人的意見であるが、社会が本当に頭痛診療の

必要性を認めるなら、特に難治性頭痛患者さんの

診療は時間をかけて行えるような環境整備を

整えるべきだろう。


(*注;  この場合の

対応策としては、英国が参考になる。英国では

頭痛専門医の診察は3カ月から6カ月に1回だ。

多くの場合、各受診ごとにこれまでの治療の判定を

して、次のプランを決定する。つまり薬物内服量の

ターゲットドーズの決定や新たな治療プロトコールを始める

か否かを決定する。専門医はその新たなプランを

家庭医に指示して新たな治療を進める。決して漫然と

診療が進んでいる訳ではなく、各受診ごとに必ず何かが

進むようになっていて診療にメリハリがある。実際

治療効果は直ぐにでるものではなくこのくらいの

受診間隔で良いのかもしれない。細かなトラブルに

対しては基本的に家庭医が対応。これを参考に

するならば、3次医療機関が基本的な方針をきめ

受診と受診の間は2次医療機関が対応すること

も一つの解決策になるかもしれない。)