お知らせ

●頭痛に伴って手足の麻痺を繰り返す片麻痺性片頭痛について経験が豊富です.大阪難波の富永病院の私の外来にご相談ください.

●富永病院 頭痛センターでは,幅広い頭痛疾患に入院を含めて対応しております.ぜひ,お気軽にご来院ください.

2012年7月31日火曜日

MUMSとHMの関係やいかに; 'give-way' weakness or 'true' weakness

よくよく読んで考える...MUMSという聞きなれない病名。しかし片麻痺性片頭痛を理解する上で知っておかなければならない重要な病名です。

とても重要な文献です。

Aura?  Allodynia?  Psychogenic?

1.  http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17056632
Migraine with unilateral motor symptoms: a case-control study.
Young WB

2.  http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17314190
MUMS the word. Migraine with unilateral motor symptoms: what can you say?
Goadsby PJ


[追] 
日本の風景が一番好きだが、ロンドンもなかなかいい。

2012年7月30日月曜日

Typical MA with FHM

FHMにおけるtypical MA attackは, hemiplegic migraine attackのabortive attackかもしれないと。奥がふかい。

FHMを学ぶことはAuraの理解につながり,
Auraを理解することによって
Migraineの理解がより深まるような気がする

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed?term=lancet%20sporadic%20russell%20ducros

[追]

町はオリンピック一色です。タワーブリッジにて。

2012年7月10日火曜日

Flunarizine(フルナール)復活はないか?

多くの先輩頭痛専門医の先生は使用されていたと思うのですが、
やはりフルナリジン復活しないかなあ、と思います。

頭痛大学の頭痛ニュース99.03.19 によると間中先生が

●フルナール発売中止!!世界中で使われている片頭痛予防薬フルナール(R)が再評価指定を受けましたが、メーカーは申請せず、1999年3月末をもって発売中止となります。まことに残念です。
厚生省は、世界的に評価されている薬に、どうして狭量なのか!腹立たしい限りです。

とコメントされています。
http://homepage2.nifty.com/uoh/news/news.htm

1999年頃といえば、僕はまだ医師としては駆け出しの頃で、病院のベッドサイドでバタバタしており頭痛をしっかり診療しておらず処方の経験がありません。処方しようと思えば処方できたのに残念に思います。

最近のレビューを読んでも、片頭痛の予防にFlunarizine significantly reduces headache frequencyと記載されており、First-line treatmentsとして記載されています。販売されていない場合はVerapamilが良いとなっています。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22644189

英国では、限られた施設で登録して使用が可能とのこと。「副作用に注意すれば良い薬だよ」とのこと(留学先の病院の外来ではよくつかわれています)。またヨーロッパでは今も広く使われていると言います。

フルナリジン復活はないのでしょうか?

2012年7月4日水曜日

英国医師会のこと

頭痛の話ではないですが、おもしろい記事があったので・・・。

英国医師会(BMA: British Medical Association)は医師の労働組合であるが、英国で働く医師がすべて入会している訳ではないそうだ。入会しているのは、上級医師であるコンサルタントと家庭医が中心であるという。ここまでは、日本でも場合によっては、同じなので驚くこともない。

 ここからが面白い(そう思うのは僕だけか?)。面白いのは外国人医師はあまり入会していないらしい。英国では毎年15000人が新たに医師登録するそうであるが、なんとこのうち英国出身は5000人ほどだそうである。のこりの1万人が外国出身とのこと。

 その内訳はインド4000人、パキスタン1000人、ドイツ700人と続くとのこと。また、英国で毎年8000人が医学校を卒業するらしいが、医学生のうち移民の二世、三世の割合もかなり多いらしい。

 英国医師会に入会するとBMJが送られてくるメリットがあるそうだが、これも無料でインターネットで見れるので、毎年7万円あまりする会費をはらえるのは、懐に余裕のあるコンサルタントや家庭医が多くなっているそうだ。

 英国にきて驚いたのは、移民の多さだ。どこへいってもなまった英語ばかりで(なまっても話せない僕よりずっと素晴らしいので、えらそうに言えたものではないが)、英語以外の言語も多く、きれいな英語をきくことはむしろ少ない。最近は移民をかなり制限する傾向にあるらしいが、これだけ外国人医師が多いのは日本では考えられない。いろいろとビックリすることが多いです。

ちなみにこの記事は、医学書院 「イギリスの医療は問いかける」森臨太郎著を抜粋させて頂きました。

写真は、とあるお店の薔薇の花。英国ではどこの家にも必ずと言って良いほど薔薇が咲いています。薔薇ってきついイメージがあって、あまり好きではなかったけど、毎日みていると結構綺麗でだんだん好きになってきました。



 

2012年7月2日月曜日

Neurostimulation for chronic headache

 難治性頭痛に対する電気刺激療法については、国際学会へ行った時などに発表されていたり、企業のブースがあったりして行われているのは知識としては知っていた。

その時は、へーっ、頭痛でこんな治療をするんだなーという程度の認識であった。繰り返しになるが、もちろん頭痛の教科書には最後の方にかならず外科的治療という項目があり知識としてのみしっていた。 

こちらへきて、まず驚いたのが頭痛に対してこの電気刺激療法をかなり積極的に採用していることである。後頭神経刺激療法(Occipital nerve stimulation; ONS)と、深部脳刺激療法(Deep brain stimulation;DBS)があるが、特に難治性の慢性群発頭痛においてはよく行われているようである。もともとONSは、Matharu MやPopeney and Aloらがrefractory migraineに対して行っていたようである。 http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/14607792 また、後頭神経痛、他の難治性頭痛に対しての報告もある。

 その後、持続性片側頭痛で良い結果を認め、2009年にはBurnsらが慢性群発頭痛14例に対してONSを行い報告している。http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19171831

 さらにONSだけでなく、DBSについても2008年にLeoneらが38人の難治性慢性片頭痛患者にたいして61%にpain freeもしくはalmost pain freeとなったと報告している。一方で致死的脳出血を来たしたという症例も報告されている。

これらの頭痛に対しての電気刺激療法についてはこちらの文献にまとめがあった。http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22590481

 頭痛に対して、手術をするかどうか。これは難しい問題である。でも、外来で患者さんの様子をみていると医師から次のステップとして電気刺激療法を提案されたとき、多くの患者さんは安堵の表情をうかべ、多くの患者さんが特にためらう様子もなく外科受診を承諾しているのは印象的であった。

もちろん、患者さんは何年も苦しい頭痛に悩まされてきたので、それを何としてでも治したいと思っているのだろうが、日本でどこまで電気刺激療法のような外科的治療が頭痛という疾患に対して受け入れられるのか、今の僕には想像がつきにくい。勝手なことは言えないが、もしかすると欧米人と日本人では体にメスをいれることについての抵抗感が少し異なるのかもしれない。

ホンコンから来た留学生にも聞いてみたが、ホンコンでも頭痛で電気刺激療法は、簡単に受け入れられるか分からないといっていた。難治性頭痛に対しての電気刺激療法、今後日本でどのようになっていくのか気になるところである。

追記 8/22
患者さんの中には,  電気刺激療法(ONS)はどうでしょうか?  と自ら医師に尋ねる人も多いようです.



病院近くの通り。天気が良く花がきれい。