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2012年9月14日金曜日

DHE入院について

(*この記事と前後して、英国でのDHE注の製造は終了となった。)

DHE(ジヒドロエルゴタミン)は、エルゴタミンとともに麦角系の薬剤である。
エルゴタミンは1925年から、DHEは1945年から片頭痛治療に
使用されている古い薬である。

1990年代に入り(日本では数年後)トリプタンが使用できるようになったものの
一定の割合でノンレスポンダーもいる。再発する片頭痛に対する処方を含め、
片頭痛治療の非トリプタンオプションとして重要である。

いずれも、嘔気や血管系副作用が問題となるが、DHEはエルゴタミンにくらべて
以下の特徴がある。


①DHEはエルゴタミンと同等の効果があるが、血管収縮や嘔吐の副作用が少ない。
②エルゴタミンでは薬物乱用頭痛になるが、DHEによる薬物乱用頭痛はまれである。
③片頭痛の再発が少ない。

また、作用時間がながいという特徴がある。
日本では未発売で、慢性頭痛診療ガイドラインにはGroup4で
有効、副作用に注意となっている。

こちらの病院にはDHE入院という入院がある。おもな目的は薬物乱用頭痛の断薬、
慢性片頭痛、慢性群発頭痛の治療などである。
通常の予防治療ではどうしても効果がない症例に対して行われる点滴治療である。
エルゴタミンに比べて副作用が少ないとはいえ、
嘔気なども伴うため、5日間の入院して、嘔気止めの点滴や
こむら返りにたいする鎮痛薬なども合わせて行われる。なお、群発頭痛では
トリプタンとの併用ができないため、この間は酸素で対応する。

作用持続時間が長く、人にもよるが1~2カ月効果がある。3~4カ月ごとに使用可能
であるが、何年も行うものではないという。あくまで一時的な予防である。この間に頭痛が
改善すればよいのだが、改善しないようであれば、ボトックスや神経刺激療法術など次の
手段を考慮していく必要がある。

このようなDHEであるが、最近の新しい話題としては、吸入DHEである。点滴DHEにくらべて、
嘔気の副作用がすくなく、共存症として多い喘息でも有意な副作用なく使用できるとのことである。
Silbersteinはレビューの中で、吸入DHEは便利で副作用がよりすくなく、
中から高度の片頭痛治療のファーストラインとして考慮されるべきと
述べている。

2012 Sep;13(13):1961-8. Epub 2012 Aug 4.

MAP0004: dihydroergotamine mesylate inhalation aerosol for acute treatment of migraine

Silberstein S.