それは、頭痛診療が極めて、アグレッシブである点である。難治性の頭痛に対して一切妥協していない。そもそも外来に通院している患者さんは、いくつかの神経内科医やGPをへて、1年にわたる予約待ちを経てようやく頭痛外来にたどりついている患者さんのみである。さらに何年も頭痛外来で治療を続けている人も多い。そのような中で、頭痛を治すことが最重要課題となっている。それは当然だろう。外来で診察の様子を見ていると、主治医はこのような患者さんに果敢にとりくんでいる。ファーストラインの治療がターゲットドーズに達して、効果がなければ、治療薬のレジメンを変更し、次の薬剤のターゲットドーズを目指す。つまりファーストラインが無効なら、患者さんの状態をみながら、じっくり相談の上で、セカンドライン、サードラインへと移ってゆく。その中で、後頭神経ブロックや、ボトックス、神経刺激療法の手術なども選択されていく。
頭痛診療自体が、非常にアグレッシブで、手をこまねいている様子がない。患者さんの状況をみながら、戦略的に、積極的に、果敢に頭痛に立ち向かっていく様は、まるで外科医のようだ。頭痛医の果敢さは目を見張るものがある。
ある一定の割合の患者さんが比較的順調な経過をたどり、それ以外の困難な患者さんがいる場合と、全ての患者さんが難治性患者さんの場合では少し対応がことなるのかもしれない。
それでも、一人あたりの診察時間はたいてい30分から場合によっては1時間近くにおよぶ。この間、もちろん傾聴の場面もあるし、症状を、繰り返し、確認しながら、極めて極めて詳細に、極めて正確に、広範囲に聴取する事と、治療が有効であったか、無効であったか、有効であったならどのくらい有効であったかを判断する事、そして次のステップの治療の説明とそのエビデンスの説明の時間にもあてている。
このような頭痛外来にふれることができていることは、僕にとって非常に刺激的だし、自分の将来の頭痛診療の方向性に多大な影響を及ぼすとおもう。