難治性頭痛に対する電気刺激療法については、国際学会へ行った時などに発表されていたり、企業のブースがあったりして行われているのは知識としては知っていた。
その時は、へーっ、頭痛でこんな治療をするんだなーという程度の認識であった。繰り返しになるが、もちろん頭痛の教科書には最後の方にかならず外科的治療という項目があり知識としてのみしっていた。
こちらへきて、まず驚いたのが頭痛に対してこの電気刺激療法をかなり積極的に採用していることである。後頭神経刺激療法(Occipital nerve stimulation; ONS
)と、深部脳刺激療法(Deep brain stimulation;DBS)があるが、特に難治性の慢性群発頭痛においてはよく行われているようである。もともとONSは、Matharu MやPopeney and Aloらがrefractory migraineに対して行っていたようである。 http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/14607792 また、後頭神経痛、他の難治性頭痛に対しての報告もある。
さらにONSだけでなく、DBSについても2008年にLeoneらが38人の難治性慢性片頭痛患者にたいして61%にpain freeもしくはalmost pain freeとなったと報告している。一方で致死的脳出血を来たしたという症例も報告されている。
頭痛に対して、手術をするかどうか。これは難しい問題である。でも、外来で患者さんの様子をみていると医師から次のステップとして電気刺激療法を提案されたとき、多くの患者さんは安堵の表情をうかべ、多くの患者さんが特にためらう様子もなく外科受診を承諾しているのは印象的であった。
もちろん、患者さんは何年も苦しい頭痛に悩まされてきたので、それを何としてでも治したいと思っているのだろうが、日本でどこまで電気刺激療法のような外科的治療が頭痛という疾患に対して受け入れられるのか、今の僕には想像がつきにくい。勝手なことは言えないが、もしかすると欧米人と日本人では体にメスをいれることについての抵抗感が少し異なるのかもしれない。
ホンコンから来た留学生にも聞いてみたが、ホンコンでも頭痛で電気刺激療法は、簡単に受け入れられるか分からないといっていた。難治性頭痛に対しての電気刺激療法、今後日本でどのようになっていくのか気になるところである。
追記 8/22
患者さんの中には, 電気刺激療法(ONS)はどうでしょうか? と自ら医師に尋ねる人も多いようです.